あの子の隣に座るコツ!
「す…スミマセン…なんか、兄貴と話すといつもあんな感じで」



「いい兄妹じゃないか」



ユウ先輩が、余裕の笑みで返答する。



「妹のアリサ先輩も、あたし好きですーっ」



再びアリサに抱き着くユウキちゃん。



「ははは。ユウキお姉ちゃん?」

「なんですかー!アリサぁっ」



結局さっきと一緒でアリサがユウキちゃんをなでてる図だけどな。



ていうか、ホントに似てるのかな?俺と兄貴の翔太さん。



「なんか…いいですね」



急に、しんみりした様子で直紀が俺の隣で呟いた。



「なんだよ」



「俺、麻雀部、なくならないで欲しいッス」



真顔でそう言った。
俺にしか聞こえない声で。


「なくならないよ、麻雀部は」

「でも、再来年は俺とユウキだけですよ?」



そんな不安そうな顔すんなよ。



「お前に人望があれば、ほっといたって人は集まる。それに、俺と啓一だって入ったのは1年の秋。進は冬。アリサは今月。見ろ。みんな途中参加ばっかりだ。来月あたり、1年生とか入ってくるかもよ」



「うーん…」
腑に落ちない様子の直紀。



「人って何かと群がりたがるんだよね。目的なんてなくってもさ」



そこへ、話を聞いていたのか、啓一が口を挟む。



「きっかけだけさ。ユウ先輩はきっかけを与えただけ。僕たちみたいにコミュニティーのない人間にね」



そう。
大事なのは啓一の言う通り、きっかけ。
直紀、お前が人を集めようとしなくていい。
きっかけを作ってやれば、人は集まる。



「大吾もうまいよね、きっかけ作るの」


「え、そうか?」


「僕も進も大吾が麻雀部に行くのを見て行きたくなったんだし。大吾は一言も誘おうとしなかったけどね」


「アリサもだよ。俺は誘ってないが、今や完璧に馴染んでる」


「ホラ。やっぱりきっかけ作りがうまいからじゃない?」


うーん。
そんなもんかねぇ。
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