あの子の隣に座るコツ!
啓一が、にこにこしながらポンっと俺の肩を叩く。



「直紀、これも大吾が作ったきっかけ」



直紀がコクリとうなずいて、俺に、ニッと笑いかけた。



「よっ。色男っ、大吾先輩ぃー」



アリサの隣で、ユウキちゃんが調子良く声を届けた。



アリサも、セリフこそ発しないまでも、口元にわずかに笑みを浮かべてこっちを見ている。



「…うん、だ、そうですよ?ユウ先輩」



ユウ先輩は笑顔を保ったまま、俺の顔を指差した。



「いい忘れてたが、俺は今回のミッションで引退だ」

「…え」


「とは言っても、ここには来るけどな。ハイ、新部長は日比野」


「えぇっ?」




可及的速やかに、引き継ぎが終了した。
新部長、俺。



みんなの視線が集まる。
じゃあ、
異論ナシ、で、良いのかな?


「あー、うほん」



大きく咳払い。
みんなが見守る、3年K組・麻雀部部室。



新部長の、初仕事だ。



「その言葉を待っていた、東條さん」



大きく息を吸って、
叫んだ。



「ようこそ、麻雀部へ!」



わっと歓声が上がり、アリサが東條さんを輪の中へ引っ張ってきた。



「麻雀できる?さゆみ」

「…勉強、してきた」


「あー…この時点で直紀の負けが決定した」

「えーっ!?進先輩言い過ぎ!」


「あっ、8人いるから、ちょうど麻雀できるね」

「麻雀やりましょやりましょ!プリン食べながらやりましょうっ!」


ガタガタと雀卓を囲むメンバー。



笑いながら、俺も混ざる。



「オレ、トイレな」

「あっ、ユウ先輩…あァ」


呼び止めようとした俺にしか見えないところで、ユウ先輩がポケットから一瞬だけ、ソレを見せた。



赤マルソフト。ユウ先輩のお気に入りの銘柄。



ニヤリと笑って教室を出ていったユウ先輩を見送って、雀卓に座る。



ユウ先輩。
ホントに、
先輩には敵いません。



あ、タバコの事はうっかり告げ口しときますね?ユウキちゃんに。



うん。
健康第一!
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