あの子の隣に座るコツ!
もう少し捕捉しよう。

時間がなければ飛ばして結構。



我が心学社学園高校の、試験日程は、以下の通りだ。



4月
実力判定試験

5月
◎中間考査

6月
月例試験

7月
◎期末考査

8月(夏期休校)


9月
課題確認試験

10月
◎中間考査

11月
月例試験

12月
◎期末考査

1月
課題確認試験

2月
月例試験

3月
◎学年末考査



月に1度ずつ、大きなテストが予定されているのがお分かりだろう。



テストの結果は答案返却が終了した翌日には廊下に貼り出され、さらに翌日には即席替えとなる。



◎の付いているテストが、成績に反映される類のもので、他の試験はいわゆる実力テスト。自分の順位を正しく認識する指標として取り入れられているようである。



つまり俺のすぐ前の席、後ろから2列目の廊下側という、よろしくない席に(俺が言えることでもないが)甘んじている泉アリサが、“月例テストで助かった”と言ったのは、月例テストが成績に反映されないから、ということだ。







まぁ、
正直言って冗談じゃない。



勉強の出来ない俺たちの身にもなってくれ。



毎月毎月、元々足りない知識をなんとかやりくりしながら試験勉強に追われ、その度に撃沈し、その度に“最バカ”の汚名をかぶる俺の気持ちを、学長は考えた事があるのだろうか。



学習意欲の向上どころか、俺を含め後ろ2列分に座る連中のそれは、入学早々の実力判定テストを皮切りに徐々に低下。



雀の涙ほどは持ち合わせていたであろう宿題や予習、あるいは学校への出席意欲すら、2年の我々にはもはや皆無だった。



後ろ2列の“バカ席”の諦めムードは凄まじく、前2列の“秀才席”との得点差は、絶望的と言うのが至極妥当な表現だと思う。



さらに言えば、“最バカ”の俺と、“クラス首席”の生徒との格差は、異常だ。



一学年1500人、50人のクラスが、A~Zの26クラスと、
α(アルファ)
β(ベータ)
γ(ガンマ)
δ(デルタ)の4クラス。



全30クラスは、アルファベットだけではクラス名が追い付かない。そういう規模の学校なのだ。



1500人のトップ30と、ワースト30の得点差の凄まじさは、想像に難くないだろう?そんな生徒とは3年間、隣の席はおろか後ろの席になることすらないだろうな。
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