あの子の隣に座るコツ!
結果、メンバー構成は以下の通りになった。



指令班

2年
永野啓一
新立進(スッスン)

1年
波多野優希(ユウキちゃん)



実動班

3年
中村悠一(ユウ先輩)
権藤剛志(タケシ先輩)

2年
日比野大吾(俺)
井上、尾崎、水谷(子分3兄弟)

1年
杉山直紀



こんな感じだ。
実動班には“バカ”が目立つ。
野球部の3兄弟も揃って“バカ席”らしいからな。



ただ、テスト、テストと騒いでいないところを見ると、3人ともタケシ先輩ほど酷い成績ではなさそうだ。



もちろん、“バカ席”の上位も、立派に“酷い成績”ではあるんだけどサ。



「他の部員たちにも手伝わせたいが、あまり人数が多くても機動力が下がるだけだ。今回はこのメンバーでミッションを成功させるぞ」



ユウ先輩がニコリと笑って俺を見た。



俺を見た理由は分かる。



“最バカ”の俺にだって、そのくらい分かるさ。



このミッションは、他ならぬ俺のためのミッションだ。



問題用紙を盗み出して、テストで良い点をとれば、東條さんの近くの席に確実に近付ける。



さっきの俺の話を聞いて、ユウ先輩がこのミッションを考案してくれのだ。



ただ、俺の肩身は相当狭い。不正を働いて良い点とろうとしているんだから。



啓一や、特に真面目な進なんかは、このミッションをあまりよく思っていないのかもしれないよな。



そう思って進の方を見ると、進は俺の心中を察したかのように、こちらを睨んだ。



「…俺は、別に構わないよ。あんだけ可愛い子だったら、助けたいと思うのも当然だ」



鼻の頭をぽりぽりと掻きながら、むすっとした顔で言葉を付け足す。



「…なんだよさっきから。俺はこういうことには反対するって、そう思ってたんだろう?」


「あ、いや…」



正直、意外だった。進はこういう、不正で良い点とったりする事は大嫌いだと思っていた。



「俺は、今回のミッションは、テストを受けるひとりの高校生としては反対だ」



俺を睨んで、進が吠える。睨まれて、吠えられて、良心が痛む。



「だが、大吾の言い分は正しい。ダチとして賛成するし、協力する」

「…ありがとう、進」

「今回だけだぞ」



啓一がクスリと笑うのが聞こえたが、やはり嬉しいのが先に胸にあふれた。
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