あの子の隣に座るコツ!
「さぁ、始めるぞ。全員席についてくれ」



黒板の前に立ったユウ先輩の合図で、部員たちはガタガタと手近な席に腰かけた。



「フム。それでは、土曜日に控えたミッションについて、最後の確認を行う。皆それぞれテスト勉強もあるだろうから、手短に済ませるつもりではあるが」



どうにも違和感を拭いきれない芝居がかった口調で、麻雀部司令塔のユウ先輩は説明を続けた。



「各自、入手した情報を報告してくれたまえ。じゃあ、まずは日比野。手短にな」



指名された俺は、ガタリと席を立って、朝の保健室での件で入手したプリントを、カバンから取り出した。



「みんなの読み通り、テスト問題は各作成者が保管しているようです。つまり、今回は数Ⅱ・数B・現国・古典・日本史・世界史・生物・化学・英語R・英語Wの主要5教科8科目に、副教科の保健・情報を足して10科目。合計10箇所にあるテスト問題を捜索する必要がある」



「10箇所か…こりゃ骨が折れるな」



進が面倒臭そうに言った。



「でも、まぁ実動班は8人だから」

「うん。ひとり1、2科目受け持って同時進行で探せば」

「早いね、かなり」



そこへ井上、尾崎、水谷の野球部トリオが検討を加える。



「そのプリントに書いてあるんだ?信憑性はあるのかな」



啓一が柔和な笑みを浮かべて尋ねた。


「第二保健室の鳥井先生がくれた。去年の学年末テストのプリントだけど、公式のモノのようだし、ある程度は信じられると思う」



あの状況でくれたプリントが完全なガセネタだったら、二度と第二保健室なんて行くものか。急性盲腸炎を起こしたって、自力で家に帰ってやる。



「じゃあ、それを信じて、誰がどの教科を捜索するかも決めてしまおう」



そう言ってユウ先輩は手近な白チョークを手にとった。



「あ、ハイ。あたし、何のテストをどの先生が作ったか、調べて来ましたよ」



アリサが挙手をすると、胸ポケットからメモ用紙を取り出して、ユウ先輩に見せた。



「ホウ。やるじゃないか、泉。こりゃお手柄だ」



メモを受け取ったユウ先輩は、悪そうな笑みを浮かべてアリサを褒めた。



確かに、これで捜索の効率は飛躍的に上がる。



いつの間に調べてたんだ?
アリサも案外やる気みたいだな。
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