あの子の隣に座るコツ!
整理しよう。


俺たちは、テスト2日前の夜に学校へ潜入。



さらに警備員の休憩時間を狙って4階の職員室へ忍び込み、テスト問題を暗奪。



この時、俺たちに与えられる時間は、警備員の休憩時間プラス奴らが1~3階を見回っている間、ってことだな。


どうだろう、正味30…40分くらいだろうか?逃走時間を考えたらテスト捜索は20分台でカタをつけたいところだが。



上階と下階を繋ぐ階段は、2箇所ずつある。指令班と連携して、警備員と鉢合わせしないように脱出できれば、ミッション成功だな。


ん?文字じゃあよく分からないって?


勘弁してくれよ。


「警備員に見つからないようにテスト問題を盗む」って事が分かりゃあ、なんの問題もないんだからサ。



「あ、じゃあついでに。警備員の交代とか、休憩とかのシフト、拝借してきました」


啓一がさらりと言った。なにげに重要情報だよな、それ。



「フム、どれどれ…」



ユウ先輩がシフト表を受け取って、中身に目を通す。


「休憩時間は30分。見回り自体の所要時間が60分。本館各階の見回りを少なく見積もって10分強。捜索時間としては十分じゃないですかね」



なるほど。校内潜入から脱出まで、おおよそ60分がリミットってことだ。



それにしても。10分?各階30ある教室を10分で回るっていうのか?実にずさんな警備体制だな。



「このシフト表通りに動くなら、行動を起こすとすれば夜中の12時。2回目の休憩の時がベストだろう。校舎外の人通りもなくなるし」


うん、先輩のいう通りだ。それより早いと校舎外で待機する指令班が目撃されそうだし、遅いと俺たちの行動に支障が出る。眠くて。



「無線機の手配はどうだ、波多野」


「万事順調ですっ、ユウ先輩!」


頭の上で綺麗にまとめた黒髪をぴょこりと揺らして、ユウキちゃんが返事を寄越した。


おぉ、無線も使えるのか。それにしてもどんな人脈だ?


「親戚のおじさんがアマチュア無線が趣味らしくて。事情を話したら古い無線機を提供してくれることになったんですよ」


「じ、事情を話したのか?テスト盗む事情を」


「話の分かるヒトだから大丈夫ですよ、大吾先輩っ」

うーん、きっとこの愛らしい笑顔に負けちゃったんだろうけど。

大人のあなたは窃盗の幇助罪にあたるんですよ?
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