あの子の隣に座るコツ!
程なくして、実動班8人が夜の職員室前に勢揃いした。


「仲良くやってたか?」


意地悪そうな笑みを浮かべて、ユウ先輩が耳打ちしてきた。


「ホントにくじ引きイカサマしてないですか?」


「はっ。そんな芸当俺に出来るわけないだろ」



窓の鍵を外から開けるなんていう芸当ができるユウ先輩だから疑わしいんですよ。



「ようし、あとはテスト問題を探すだけですね!」


「おいおい。大声出すなよ、響いてるぞ」


やる気満々な直紀を、タケシ先輩がなだめた。


「ちゃんと見つかるかな」

「まぁ、俺ら1教科だし」

「タケシ先輩の足引っ張らないようにしようぜ」


3兄弟も、割とリラックスしてるみたいだ。全体的にいい雰囲気とも言えるのかな?



「……」


アリサは、今はちょっと言葉少なって感じか?なんか変だよな、今日のアリサ。


まぁ、いつも変だけどさ。

ていうか、みんな大概変だけどね。



みんな俺には言われたくないだろうけどね。“最バカ”の俺には。



ザザザッ。


“全員揃いましたね?”


啓一から全員に通信が入った。


「ああ」


ユウ先輩が代表して返答した。


“僕の位置からは予定通り、警備員に動きはまだありません。進、時間はどう?”


ザザッ。


“現在12時18分。休憩終了時間は12時30分の予定だから、およそ10分で警備員が再び巡回を開始します”



今からすぐに捜索を開始しても、残された時間はその10分間の休憩と、1~3階の巡回時間である、10×3の30分。合計40分か。



「脱出時間も考慮して、捜索は30分が限界ね」



アリサが冷静に分析する。
意外に時間ないな。うまく全教科見つかるのかな…?


「波多野。警備室の様子は?」


“今のトコ、動きナシですっ。つまんないですっ”


ユウ先輩の問いかけに答えたのは、警備室を監視するユウキちゃん。今のところ、予定通りに向こうも動いているようだ。
< 92 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop