神の卵を授かりし鳥
☆☆第一章・カッコウの託卵☆☆
清流のせせらぎと野鳥たちの鳴き声。そうした優しいナチュラリズム的な音色が私の心を癒す。

こうした美しい朝を迎えた日は、宗教学に精通していない私でも、あらゆる神に感謝したくなる。

「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ・アーメン!」

この神への感謝の言葉は助手の田中君が教えてくれた。なんでも神に感謝を伝えるには万能らしい。

だが、海外で活動してる時はこの言葉を発しないほうがいい。私の発音がまずいせいか、不思議と地域住民に拉致られボコボコにされる。

海外でも名前の知られた学者になりたいのだが…。

『ゲッゲッゲッゲッゲッ』

おっ!夜でもないのにブッボウソウがまだ鳴いてる!まだ寝ないでくれよ。今、集音器を準備するからな。

私は急いでマイクロホンをブッボウソウが鳴く方角に設置する。そして録音機のスイッチを音が鳴らないよう慎重に入れた。

『ゲッゲッゲッゲッゲッ』

よし!いい子だ。後はお前のその美しい胸元を拝めれば今日は最良の日なんだがな。
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