神の卵を授かりし鳥
私は静かに俯せになり、望遠鏡でブッボウソウの姿を捜す。が、ここで突然、山中では異質な鳴き声が聞こえてきた。

『グァー!ゴアーッ!グァー!ゴアーッ!グァー!ゴアーッ!』

水田にしか生息しないコサギとダイサギじゃないのか?なんて品のない鳴き声だ!しかし、なぜこんな山中に奴らがいる?

「あっ!」

奴らの鳴き声に驚いたブッボウソウが上空高く飛び去っていくのが見えた。

「なんてことだ!」

いったいぜんたい、どういうつもりなんだ!お前らごとき観察は小学生の頃に卒業しているんだぞ!それなのに、なぜ今こうして自分達のフィールドから離れ私の邪魔をする!

『グァー!ゴアーッ!グァー!ゴアーッ!グァー!ゴアーッ!』

捜し出して追っ払ってやる!

うっそうと生い茂る木々の間を走り抜け、鳴き声がする方角に向かった。しかし、その鳴き声の正体にたどり着き確認した私は、あまりもの驚きに口をあんぐりと開け見とれてしまった。

「確かにコサギもダイサギも白なんだが…これは人間?」

そこにいたのは、白いジャージを着た若い娘さんだった。
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