アオイムコウ
第1章 sorairo
ナガレルクモノヨウニ
グラウンドから響き渡る野球部の掛け声。
シューズが擦れる、ボールが跳ねる、かすかに聞こえるバスケ部の音。
少しおぼつかない、でもまっすぐな音を奏でるラッパの音。
放課後にナガレルこの自由な調和が、私はスキ。
そんな素敵なメロディーに癒されながら、本のページをめくっていく。
少し古びた図書室にはあまり人気がない。
その分私の想像力は広がって、どこまでも冒険にでられる。
幸せを直に感じられる、わたしにとって大切な時間。
まだ誰も知らない、大切な、たいせつ「なぁ」
あれ、いつのまに声にだしてたんだろう。
それに、ふふ、“大切なぁ”って…
変なの……
「なぁ」
はっと顔をあげると、そこには男の子が立っている。
その男の子は私のことを静かに見ていて…
静かに…私のことを…見ている……?