アオイムコウ
彼の顔が驚きに変わる。
私、また何か変なことをしてしまったのかもっ…
私がよほど不安そうな顔をしていたのだろうか、日向君ははっとしたように答えた。
「あーごめんな、まさか白川が俺の名前を知ってると思わなくて…。
ここにはだいぶ前からいたよ。気付いてなかったかもしれないけど、一応毎日きてるから」
日向君は奥にある椅子を指さした。
「ちなみに、あれが俺の特等席」
ニっと笑う彼に私は思わず引き込まれてしまった。
彼の笑顔はまるで太陽みたい。
すべてを平等に照らし出す、暖かな太陽。
「白川…?どうかした?」
私の心も優しく照らされているみたい。
ずっと、私は影なんだと思ってた。
でも、私は今一緒に暖かな気持ちになれている。
私、影じゃないのかもしれない…
だって影は、光があたると消えてしまうでしょう。
「日向君の笑顔、私好き」
自然と口から出た素直な思い。
恥ずかしいはずなのに、すごく嬉しい。
目の前の日向君の顔が赤く火照っていたことを知るのは、ずっと先の話。