ヤサオトコ

 「その代わり、言っておくけど・・・。逃げたらどうなるか、わかっているわね」
 「わかっています」


 「私に恥を掻かせるのよ。逃げたら、覚悟していてね」


 沙幸が宣伝部長の険しい顔になった。


 「わかりました」


 栗崎は放心状態でホテルを出た。


 夜風が心地良い。
 混乱した頭の中が、少しずつ冷却されて行く。


 ドラッグストアを求めて、栗崎はネオンの海をさ迷っていた。
 通りに面した所に、運良く一軒のドラッグストアがあった。


 栗崎は、引き寄せられるように店内に入った。
 薬や衛生品が、所狭しと陳列されている。


 レジ横の棚に、栗崎の視線が釘付けになった。







 
< 106 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop