ヤサオトコ
「その代わり、言っておくけど・・・。逃げたらどうなるか、わかっているわね」
「わかっています」
「私に恥を掻かせるのよ。逃げたら、覚悟していてね」
沙幸が宣伝部長の険しい顔になった。
「わかりました」
栗崎は放心状態でホテルを出た。
夜風が心地良い。
混乱した頭の中が、少しずつ冷却されて行く。
ドラッグストアを求めて、栗崎はネオンの海をさ迷っていた。
通りに面した所に、運良く一軒のドラッグストアがあった。
栗崎は、引き寄せられるように店内に入った。
薬や衛生品が、所狭しと陳列されている。
レジ横の棚に、栗崎の視線が釘付けになった。