ヤサオトコ


 田原の卑猥な顔が思い出された。



 「女子社員が100名以上も、お前のリストラを反対して抗議運動を起しよる」


 田原が、唾を飛ばしながら嫌味な事を語り掛けている。


 「橋爪部長は、リストラを撤回せんと仕事を回せへんと圧力をかけてきよる」


 
 「お前は憎たらしい程、女にもてるのやな」



 「ピーピー男のどこがそんなにええんか、さっぱりわからへんわ」



 田原のねばねばした言葉がいつまでも耳に残っている。


 「変態の胡麻擦り男に、俺の魅力がわかってたまるものか」


 栗崎がひとりで息巻いた。


 「くそったれが・・・」


 (ピンクの紐があれば、いっその事・・・)


 栗崎は、あの時のピンクの紐が無性に欲しくなった。






 
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