ヤサオトコ
5話 呪いのチョコ


 2月14日。



 栗崎はこの日が、一年中で一番苦痛な日だった。


 呪いの一日。

 この日を短い言葉で言えば、このように表現出来るかも知れない。
 昨年も、もらったチョコレートの数は50個以上。処分に困った経験が、今もほろ苦く栗崎の記憶に残っていた。


 (休みたい)


 いつも以上の強い要求と、栗崎は必死で闘っていた。


 (休めない)


 栗崎は観念して、渋々会社に出勤する事にした。



 8時30分。
 課長の田原は出勤すると、すぐ栗崎の机の上を見た。


 始業時間の30分前。
 栗崎の机の上には、すでに数個のチョコレートが置かれている。






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