ヤサオトコ

 「これだから、バレンタインデーはいやなんだ。誰が、こんな日を・・・」


 栗崎がいやな顔をしながら独り言を。
 そこへ、課長の田原が現れた。


 「大事なんは、チョコの数より、銭の数や。皆目、売り上げは伸びんやないか。もっと、売り上げ伸ばさんかい。この役立たずが」
 「あっ、はい」


 今日の課長は、事のほか機嫌が悪い。


 「田原には、いつも以上に要注意」


 栗崎は今日一日、危険信号を全身に発令した。




 昼休み時間が迫って来た。
 三十六計逃げるにしかず。


 栗崎は少し早めに、急ぎ足で会社を出た。
 近くに、カレーうどんのうまい、うどん屋がある。


 栗崎はそこの暖簾を潜った。
 カレーうどんを食べ終わった時に、栗崎の携帯電話が鳴った。







 
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