ヤサオトコ
「受けるの。受けないの」
沙幸が、栗原にイエスかノーかを迫った。
「・・・」
「どっちなの」
「お断りします」
栗原がきっぱりと断った。
「ええっ、信じられない」
沙幸は困惑した顔をしている。
「こんなおいしい仕事を断るなんて。栗崎君、本気なの」
「本気です」
「なぜ?」
「僕は、条件付きの仕事なんか欲しくありません」
「難しい条件じゃないはずよ」
「僕にとっては、難しい条件です」
栗原の意志は固かった。