ヤサオトコ

 栗崎は冴えない表情で社に戻った。

 橋爪部長の申し出を断った。
 後悔は無かったが、先を考えると、栗崎は憂鬱だった。

 それに、プレゼントの処分。
 考えるだけで、栗崎は気が重かった。



 終業時間になった。
 気の遠くなるような長い時間が、やっと終わった。


 沈む気持ちを奮い立たせ、栗崎が会議室に入った。
 テーブルの上には、プレゼントの数々。


 (見たくもない。反吐が出そうだ)


 その思いに、栗崎はじっと耐えた。


 気を取り直して栗崎は、チョコレートとその他の品を大雑把に分類した。



 チョコレートは地下街のゴミ箱に捨てる予定。


 ネクタイ、マフラー、手袋、商品券・・・。
 それらは、どう処分するか、栗崎は追々考えるつもりでいた。






< 167 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop