ヤサオトコ
野乃絵から理想の人は、と尋ねられた事を、栗崎は思い出した。
その時、意外な人が思い浮かんだ。それが、房江だった。
(そんな馬鹿な、とあの時、打ち消したが、心はこの人を求めていたのか)
栗崎は自分の心が、この時、はっりとわかった。
「どうするのや」
房江が返答を迫った。
「僕はいいですよ」
「こんなお婆ちゃんでもか」
「はい」
「うちは、アラ還やで。34歳も年上でもええんか」
房江が身を乗り出した。
もの凄く熱が入っている。