ヤサオトコ

 「いいよ」

 店主は、カメラマンになりきっている。


 野乃絵が栗崎に顔を接近させた。


 「いいね」
 「凄くいい」

 店主は、もうのりのり。


 カシャ。


 カシャ。
 カシャ。


 店主が、素早くシャッターを切った。

 そこへ、房江が戻って来た。


 「ああ、さっぱりしたわ」
 「お母様ですか。いい写真が撮れましたよ」


 店主が自慢顔で房江に言った。



 「何やて」



 房江が怪訝な顔をした。







 
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