ヤサオトコ

 三人は写真撮影を終え、無事、家に帰った。


 その夜。
 二階では、二人が野乃絵を待っていた。


 野乃絵が二階に上がって来た。


 「いつまで、ここにおるつもりや」


 房江が口を開いた。


 「いつまでって」


 野乃絵が房江に尋ねた。


 「うちらは、新婚や。一人で暮らしてんか」
 「急に、そんな事言われても」


 「ここは、二間しかあれへん。あんたは、マンションでも借りよし」
 「嫌やし。私は結婚するまでは、ここを出るつもりはないからね」


 「頼むから、出てえな」


 房江が野乃絵に両手を合わせて拝み倒した。


 「嫌。絶対に嫌」


 野乃絵は家を出る事を、断固 拒否をした。
 こんな言い争いの末、三人の奇妙な同居生活が始まった。







< 194 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop