ヤサオトコ
駅前のスーパーで食材を買い求めると、二人は絢奈のマンションへ。
「いいマンションだね」
「ありがとう。住まいだけは大切にしているの。たとえ、他はケチってもね」
栗崎は絢奈のマンションに入り、中を見渡した。
2LDKの洒落たマンション。
「さすがは秘書。いい暮らしをしているね。テレビのドラマの中に、出てきても可笑しくないね」
「そうかなあ」
絢奈は、栗崎と喋りながら食材を包丁で切っている。
「材料はこれでいいかな」
「すき焼きなら、僕に任せて」
栗崎はすき焼き鍋に油を敷き、牛肉を載せた。
ジュジュジュー。
牛肉がおいしそうな音を立てた。