ヤサオトコ

 (主婦でいいのか)


 また、栗崎が独り言を呟いた。


 (いい訳ないだろう)


 (じゃ、どうするつもりだ)


 (長くは無いだろう)


 栗崎は、そんな予感を胸に抱いていた。
 ここ2、3日、肌寒い日が続いている。


 (春は来るのだろうか)


 かじかんだ両手に、栗崎がはっと息を吹き掛けた。
 ほんの一瞬、小さな世界が暖かくなった。





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