ヤサオトコ
郁が、早足で四ツ橋筋にあるコンビニへ。それも、表の入り口ではなく、裏手に入って行った。
そこには、大きなゴミステイションが有り、ゴミ袋が幾つも並べられている。
そのうちのひとつのゴミ袋を、郁が開け出した。
中には、賞味期限が切れた弁当やお惣菜などが入っている。
郁が、幾つかの弁当をゴミ袋の中から取り出した。
その弁当には、賞味期限を記したラベルに、赤の焼却という印が捺されている。
郁が賞味期限を丹念に調べている。
「あった。あった」
郁が弁当を二つ手に摑んだ。そして、その内のその一つを栗崎に差し出した。
「これは、大丈夫よ」
郁が栗崎に手渡した弁当は、賞味期限が切れてまだ日の浅い幕の内弁当だった。