ヤサオトコ
その時、顔をしかめた栗崎が、トイレの中から出て来た。
「大丈夫?」
「ああ・・・」
電気が消えた薄暗いトイレの中で、郁が栗崎に尋ねた。
栗崎は調子が良くないのか、全く元気が無い。
栗崎はお腹を手で押さえ、中腰になって歩いている。
何とか、栗崎が部屋の前に辿り着いた。
「あっ、やばい」
栗崎はドアに手を掛けた途端、慌てて下腹を手で押さえた。
痛みが襲って来たのだろう。体を傾けながら、栗崎がトイレに向って走り出した。
バターン。
栗崎が、急いでトイレの中に駆け込んだ。
(いたーーー)
栗崎が、思わず心の中で悲鳴を上げた。