ヤサオトコ
郁は、夜の街を疾走した。
足には自信があった。
はあはあはあはあ・・・。
が、久し振りに走ると、郁は嘘かと思うほど息が切れた。
やっとの思いで、郁がドラックストアに着いた。
郁は、ドラッグストアで征中丸、水、紙コップを買い求めた。
買い終えると、郁は栗崎が待つビルへと大急ぎで戻った。
栗崎は部屋にはいなかった。
郁は紙コップに水を入れ、征中丸を3粒摑むと、急いでトイレへ。
「まだ、痛むの」
郁がドア越しに栗崎に話し掛けた。
「うう・・・」
トイレの中から、呻きのような声が聞こえた。
「これを飲むと楽になるわ。ここを少し開けて」
郁の声に反応して、トイレのドアが少しだけ開いた。