ヤサオトコ
ポチャン。
波紋が広がり、何も無かったかのように消えて行く。
(この環境で子など生める訳がない)
(じゃ、どうする)
栗崎が自分自身に問いただした。
「生むなら環境を変えるしかない」
栗崎がぽつりと呟いた。
(そうだ。生める環境に変えるしかない)
(空き缶を幾ら集めても、例え血を売ったとしても、この環境を変える事など、決して出来ない)
(では、どうやって・・・)
栗崎が石ころを拾い、また川に投げた。
川は何も答えてくれない。