ヤサオトコ

 「大阪にもたくさんあるものだな」


 栗崎が苦笑いをした。
 その内の何件かは、ホスト募集を行っている。


 栗崎は、めぼしきモノを手帳にメモした。そして、ネット喫茶を出て、その内の一件に電話をした。
 電話に担当者が出て来た。


 「はい、『ジェントル』ですが」
 「ホスト募集を見た者ですが」


 栗崎が、落ち着いた声で応対に出た。


 「失礼ですが、お名前と年齢を言ってもらえますか」
 「栗崎晃司。27歳です」


 「少し歳を取っておられますね。まあ、ぎりぎりいいか。学歴は?」
 「浪大です」


 「国立の浪大ですか」
 「はい、そうです」


 「職歴は?」
 「先日まで、千通に勤めていました」


 「広告代理店の千通ですか」
 「はい、そうです」


 「わかりました。では、あなたの写真を写メールで、送ってもらえますか。メールアドレスはわかりますか」
 「はい」


 「では、写真がこちらに送られて来てから、3日以内にこの電話にお電話差し上げます」
 「よろしくお願いいたします」



 栗崎が電話を終えた。








 
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