ヤサオトコ
型通りの質問に、栗崎は礼儀正しく答えた。
支配人は、外観よりも内面、話し方を重視して栗崎を見ていた。
(こいつは、とびきりの上玉だ。きっと、この店の看板になる)
支配人は、心の中で栗崎に最上級の合格点を与えた。
「では、この後、体験入店をしてもらうが、構わないか」
支配人が栗崎に尋ねた。
「構いません」
栗崎は、必ずスーツ着用の意味が、今分かった。
『ジェントル』は、三つのエリアから成っていた。
一つ目は、VIP専用のVIPルーム。
二つ目は、VIPが気軽に利用出来るセミVIPシート。
三つ目は、メインフロア。
支配人は、栗崎をVIP専用で使う腹積もりをしていた。
支配人が、VIPルームに栗崎を案内した。
VIPルームは、豪華な応接セットが中央に置かれ、重役室を思わせる重厚な作りになっていた。