ヤサオトコ

 型通りの質問に、栗崎は礼儀正しく答えた。
 支配人は、外観よりも内面、話し方を重視して栗崎を見ていた。


 (こいつは、とびきりの上玉だ。きっと、この店の看板になる)


 支配人は、心の中で栗崎に最上級の合格点を与えた。


 「では、この後、体験入店をしてもらうが、構わないか」


 支配人が栗崎に尋ねた。


 「構いません」


 栗崎は、必ずスーツ着用の意味が、今分かった。



 『ジェントル』は、三つのエリアから成っていた。


 一つ目は、VIP専用のVIPルーム。
 二つ目は、VIPが気軽に利用出来るセミVIPシート。
 三つ目は、メインフロア。


 支配人は、栗崎をVIP専用で使う腹積もりをしていた。
 支配人が、VIPルームに栗崎を案内した。


 VIPルームは、豪華な応接セットが中央に置かれ、重役室を思わせる重厚な作りになっていた。




< 288 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop