ヤサオトコ
「君は、たった今から、夢崎光だ。VIPを専門に担当してもらう。当店のVIPに君の知性で夢を与えて欲しい。接し方は、君に任せる。暫くは、私が付いてまずい点はその都度指摘するから。そのつもりで」
支配人が言った。
「あっ、はい」
栗崎は訳が分からぬまま頷いた。
その視線の先に蓋の取れたプラスティックの箱があった。名刺の一番上には、計算して撮った顔写真が、知性的に微笑んでいた。
その日、栗崎は支配人と共に三人の上客を接客した。
栗崎は、礼儀正しく話題も豊富だった。