ヤサオトコ
「・・・」
栗崎は、暫し沈黙。
「昨日から聞きたかったけど支配人がいたでしょう。それで、遠慮いた訳。今日は支配人がいないから、聞いてもいいかなと思ったの」
「いろいろと事情があり、お金がいる事が出来ましたので・・・」
栗崎が正直に答えた。
冴の心配りに好感が持て、栗原は少し心を開いた。
「そう。浪大卒らしいけど、何学部を専攻したの」
「経済学部です」
「経済学部か。お誂え向きね」
冴は、自分なりの魂胆を持っていた。
「えっ!?」
「いえ、こちらの事だから気にしないで」
「ええ」
栗崎は合点が行かない様子。
コンコンコン。
ウエイターがドアをノックし、ワインとオードブルを持って来た。