ヤサオトコ
2話 理想のタイプ
栗崎は徒歩で、新地近くの得意先に向っていた。
信号を渡り淀屋橋へ。
橋の中央辺りで、突然腹が痛くなり出した。
栗崎は急いで前後を見た。
「畜生!」
「引き返そうか」
「いや、このまま進もう」
心が決まると、栗崎は前屈みで走り始めた。
「見積書の数字が一桁違うやろ。この役立たずが・・・」
課長の怒鳴り声が、今も耳に残っている。
課長の田原は、皆の前で、自分を大声で叱り散らす。
びくびくすればするほど、ミスを犯すから不思議だ。