ヤサオトコ


 「お前を朝まで放せへん女ってどんな女や。さぞかしええ女やろな」

 
 田原の執拗な嫌がらせが続く。


 「そんな者いませんよ」
 「わしにも紹介してえな」


 「いる訳無いでしょう」
 「そしたら、理由はいったい何や」


 「それは・・・」
 「それは何や」


 「それは・・・、・・・お腹が痛くなったもので」
 「お腹?それで、毎日毎日、遅刻ちゅうのんか・・・。嘘を付くのも程ほどにせえや」
 「嘘じゃないです。本当なんです」


 栗崎が真顔で言った。


 「あほぬかせ」
 「課長、嘘じゃないと思います」


 その時、女子社員の市村美奈代が話の中に割って入った。
 田原のいつものいびりを、美奈代は見ていられなくなったのだ。







 
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