ヤサオトコ

 学校での成績は優秀でも、仕事が出来る出来ないは別だった。
 栗崎は、小倉よりそつなく仕事をこなした。


 とりわけ、小倉は外観で栗崎に大敗を喫した。

 身長が高く、容姿端麗。
 モデル体型の栗崎。


 女性を惹き付ける力に、小倉は栗崎に圧倒の差を付けられたのだ。
 女性が栗崎を熱く見るたびに、小倉は栗崎を憎んだ。
 激しく、激しく、憎んだ。


 (栗崎を潰したい)


 (栗崎を潰してやる)



 (死ね!栗崎)



 小倉は心の中で栗崎を抹殺していた。


 半年ほど前、栗崎は事もあろうに、小倉と同じ営業第2課に移動して来た。
 それ以来、小倉は栗崎の事を課長の田原にちくっていた。
 ある事無い事。弱点を見つけ次第、小倉は課長の田原に告げ口をしていた。



 携帯電話で撮った衝撃写真。
 もちろん、小倉は田原に見せるつもりだった。






 
< 61 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop