ヤサオトコ

 約束の時間。


 買い物袋をぶら下げた栗崎が、絢奈を待っていた。
 出屋敷駅に神戸行きの各駅電車が入って来た。


 大勢の乗客が改札口へ。
 その中に絢奈がいた。

 背が高く、垢抜けた服装。
 秘書に選ばれるだけの超美人。


 栗崎は、絢奈をすぐに見つけ出す事が出来た。


 「今日はお招きを頂きありがとうございます」


 絢奈が笑顔で会釈した。


 「すいません。こんな所まで」

 栗崎が小さく頭を下げた。


 「いいえ。私の希望ですから。それ、料理の材料?」


 絢奈が、買い物袋に目を遣りながら栗崎に尋ねた。







< 63 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop