ヤサオトコ
約束の時間。
買い物袋をぶら下げた栗崎が、絢奈を待っていた。
出屋敷駅に神戸行きの各駅電車が入って来た。
大勢の乗客が改札口へ。
その中に絢奈がいた。
背が高く、垢抜けた服装。
秘書に選ばれるだけの超美人。
栗崎は、絢奈をすぐに見つけ出す事が出来た。
「今日はお招きを頂きありがとうございます」
絢奈が笑顔で会釈した。
「すいません。こんな所まで」
栗崎が小さく頭を下げた。
「いいえ。私の希望ですから。それ、料理の材料?」
絢奈が、買い物袋に目を遣りながら栗崎に尋ねた。