ヤサオトコ
「ええ、近くのスーパーで買っておきました」
栗崎が絢奈に答えた。
「嬉しい!何を料理して下さるの」
「余り、期待はしないで下さい。料理を作るのは苦手なので」
「苦手なのに私の為に・・・。感激ですわ」
「仕方ないです。約束しましたから」
「約束を守ってくださるのね」
「そのつもりです。じゃ、行きましょうか」
二人は徒歩で栗崎のマンションへと向った。
10分程でマンションに着いた。
「どうぞ、中に入って下さい」
「私、男の人のマンションに入るのは初めて。どぎまぎしますわ」
本当なのか、嘘なのか、絢奈が謎めいた笑みを浮かべて呟いた。
フローリングを敷き詰めた1LDKのマンション。
それが、栗崎の居城だった。