ヤサオトコ
絢奈は会話する程に、二人の距離が縮まるようで嬉しかった。
栗崎が折り畳みのテーブルを運んで来た。
「普段は机の隅で食べていますので・・・」
「何かお手伝いしましょうか」
「大丈夫です。じゃ、そろそろ始めるとするか」
栗崎は流し台の前に材料を揃えた。
「何を作って下さるの」
栗崎の後ろ姿を見ながら、絢奈が質問した。
「ハンバーグです。お好きですか」
「大好きですわ」
「それは、良かった」
「どんな味かしら。楽しみ」
絢奈が瞳を輝かせた。
トントントントン・・・。
栗崎が玉ねぎをみじん切りにしている。