ヤサオトコ

 栗崎は玉ねぎを色づくまで炒め、それを冷ました。
 続いて、パン粉を牛乳でふやかす。


 絢奈は料理する栗崎をうっとりと眺めている。


 (苦手といいながら、手馴れたものだわ)
 (レパートリーは、料理学校にでも通わせれば、増える事だし・・・)


 絢奈がにんまりと微笑んだ。


 (後は、私の口に合うかどうかだけ)
 

 (合えば、結婚してあげてもいいわよ)




 (これだけの美人を妻に出来るのよ。有り難く思いなさいよ)




 (やはり、男は料理の出来る人に限るわね)



 絢奈は栗崎の背中に向って、勝手な事を心で呟いていた。






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