ヤサオトコ

 「痒くなったのね。私が掻いて上げましょうか」


 絢奈が立ち上がって言った。


 「お願いしていいでしょうか」


 絢奈が栗崎のそばまで来た。


 「ミンチが顔に付いているわよ」


 そう言って、絢奈がティシュで顔を拭った。


 「痒いのは、どこ」
 「この辺りです」


 栗崎が、ミンチの付いた指で頬の辺りを指差した。


 「どう」


 絢奈が、黄色のマニュキアをした爪で栗崎の頬を掻いた。







 
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