ヤサオトコ

 「そんな事してみろ。会社中に証拠写真をばら撒いてやるから」



 「証拠写真?」


 栗崎は証拠写真と聞いて愕然とした。


 「トイレで撮った傑作や。さぞかし、女供は喜ぶやろな」
 「そんな・・・」


 (自分を売る人間が内部にいる)
 (トイレの上で人の気配がしたっけ。あの時、写真を撮られたのか・・・)

 栗崎は泣き叫びたい心境だった。


 女性部長の言い成りには成りたくない。だが、もっと嫌だっのは、内部の反吐の出るような動きだった。


 「ほな、金曜日、わかったな。断ったら、九州か北海道に飛ばしてやるからな」


 課長の声が背中に突き刺さる。


 悲し過ぎて栗崎には、もうどうでも良かった。
 栗崎は足早に会議室を出た。







 
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