ヤサオトコ

 課長の田原は、部下の小倉から栗崎の秘密を聞かされた時、心底驚いた。そして、その情報を皆に暴露し、栗崎を笑い者にしようと思った。


 (栗崎はいつでも笑い者に出来る)


 (この情報の安売りは、せえへんで)


 田原は、先を考えて思い留まった。


 (イケメンを利用出来るだけ、利用してやる)


 (その為に、この情報を活用するのや)


 (利用出来なくなれば、潰すだけや)


 田原が煙草の吸いさしを揉み潰した。灰皿の中の小さな火が、もがく様に消えて行った。


 (せやけど、あのイケメンが、おむつ姿とわな。可笑し過ぎるで)


 
 (こらあ、落語よりおもろいで)


 田原は、紙おむつを見ながら笑いに興じた。



 くっくっくくく・・・。


 うっふふふ・・・。



 笑っても、笑っても、田原の笑いは止まらなかった。







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