ヤサオトコ


 栗崎は仕事を終えると、逃げるように退社した。
 足がどこかへ向っている。


 地下街にある馴染みの居酒屋へ。
 栗崎はカウンターのいつもの席に座った。


 「何にしまひょ」


 顔馴染みの店員が尋ねた。


 「冷をくれ」
 「肴は何にしまひょ」


 「いつものでいい」
 「へ~い」


 並々と注ぐれたコップ酒がカウンターに。
 それを、栗崎は一気に飲み干した。


 「冷!」


 栗崎が、店員の顔を見ながらコップを前に出した。


 「へ~い」


 店員が酒をコップに注ぐ。
 栗崎はそれを一気にあおった。







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