ヤサオトコ
出屋敷駅に到着。
栗崎は駅の近くの自動販売機で、缶ビールを求めた。
喉がからからに渇いていたからだ。
「うめぇ」
栗崎が半分位を一気に飲んだ。
缶ビールを飲みながら、栗崎が千鳥足で家路へ。
途中、何を思ったのか、栗崎が立ち止まった。
それは、たこ焼き屋『好かん蛸』の前だった。
『好かん蛸』は閉店していて、1階は電気が消えていた。
「お母さん」
「お母さん」
栗崎が店主の房江を呼んだ。
何度も、何度も。大声で。
栗崎が幾ら呼んでも、中から応答は無かった。