ヤサオトコ
「いややわ。栗崎さんやわ。ちょっと、待ってや」
房江は慌てて階段を下り、玄関まで走って行った。
ガラガラガラ・・・。
房江が急いで格子戸を開けた。
「何、してるのや」
栗崎は玄関の前に尻を付いて、両足を伸ばして座っていた。そして、大声で喚きまくっていた。
「馬鹿にしやがって・・・」
「馬鹿にしやがって・・・」
まるで、子供のように駄々をこねている栗崎。
おむつを付けているだけで、後は裸だ。
周りには、衣類が散乱している。
房江はその光景に、唖然としていた。
衣類を拾い集めると、房江は店内の椅子に、それを掛けた。
「はよう、中に入り」
房江が、栗崎の手を繋いで店内に導き入れた。