【企】微熱を下げて(挿絵付)
「ほら、高畑。お前はさっさと帰る準備しなさい」
「……あ、でもっ」
「早く帰って……俺のことだけ考えて寝なさい」
「――ッ」
一気に火照りだす身体。
これは……紛れもなく、主任のせい。
言われなくとも、既にもう田村のことなんてどこか遠くへ飛んでいる。
まさか私……主任のこと? 今までなんともなかったのに?
家に帰ると微熱があった。
もらった風邪薬を飲んで布団に入るが、心臓はドクドクと暴れたまま。
「主任のせいだ……」
頭の中から主任が出ていってくれなくて、熱は一晩中上がり続けたのだった。
【END】