すずらんとナイフ
高二の夏休み直前のこと。
すずは校舎裏で、同級生の山下ノブオと放課後デートをしていた。
ノブオはすずが初めて付き合った男だった。
少しヤンキーぽくて、やたらすずの体を触ろうとするので、困ることもあったけれど、面白いところがすずは好きだった。
トイレに行く、と言って裏口から校舎に入ったノブオは、すずのもとに走って戻ってきた。
顔を赤くして、嬉しげに興奮している。
『どうしたの?』
すずが訊くと、ノブオはジェスチャーしながら言った。
『マジすっげえの!廊下の隅っこでこう抱き合って、ヤバイくらいブチューってやってる!』
興奮するノブオに強引に手を引っ張られ、すずは校舎の中に連れて行かれた。
ノブオの言うとおり、日の当たらない薄暗い廊下の一番奥に一組の男女がいた。
二人は制服姿で絡まるように抱き合っていた。
女の短いスカートから出ている長い両脚は大きく広げられ、立ちながら男を受け入れているように見えた。