不思議な国の物語
そぅ答えると
魁焔は桃華の目の前まで来て
「桃華がいるから平気だ」
と、優しく微笑みながら桃華の
手を取り歩き出した。
魁焔の手、あったかい。
魁焔が夢に出るようになったのは
ちょうど、私が16歳の誕生日を
迎えたときから。
それも毎晩。
2日続けて見た日には驚いたけど
だんだんと慣れてきて今ではこんな
状況。
「ねぇ、魁焔」
「ん?」
「あなたは、なに?」
「また、その質問か」
魁焔にこの質問をするのは
これで、何回目だろう。
「だって、魁焔ちっとも自分の事話さないし!」
「名前、教えたよ」
「なっ…名前なら、私だって教えたし」
名前以外のことを聞こうとしたら
必ずはぐらかされる。