不思議な国の物語


「桃華は結構しつこいんだね」


なんて、怒る様子もなく
何故か嬉しそうに言う魁焔。


「なら、質問変える!魁焔はどこから来たの?」


「………」


「魁焔?」


魁焔はピタッと足を止め
振り返り桃華を突然、抱き寄せた。




「か、かい…」




「ずっとだよ」


「……え?」



「ずっと、ここにいたんだ。」


ずっと、ここに?


「いつから?」




「わからない」




分からなくなる程の時を
ここで……



ひとりで?


桃華はそっと魁焔の背中に
腕を回し抱きしめようとしたが
魁焔の背中が広すぎて無理だった。


だから、ギュッと力強く服の
裾を握りしめた。




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