いつのまにか……、すき♥
真理子が言っていた。
高橋は一度も自分からメールひとつ寄こさなかったって。
一週間メールも我慢して、それでも音沙汰なくて、「別れよ」って言ったら、「あ、そ」だったって。
「って、あたしも女なんですけど」
「あ、マユは別。俺のオアシスだから」
あんまり嬉しそうに、呆けた顔して高橋が笑うから腹が立った。
「あたしはタカハシだけのオアシスじゃありません!」
「なに? マユ、彼氏できたとか?」
何を急に慌ててジタバタしてるのか、この女ったらし高橋は?!
椅子をガタガタいわせながらあたしの方へ寄ってきた。
「マユ、止めろ、早まるな! 俺がいるだろ。寂しいなら俺が抱いてやる!」
<ピシャ>
今度は間抜けなくらいベタな音を立てて、あたしの手が高橋の頬を叩いていた。
胸がキュウッと締め付けられて、溢れ出る涙を止められなかった。
あたし高橋がすきなんだ。
いつからかな、たぶん、きっと、
いつのまにか……、すき♥
だった。
2012.09.05.
<Fin>