オレと子どもの12日間
母さんがいなくなった後、
ゆっくりと俺がこっちを見た。真顔だ。
どうしよう。これが、ドッペるゲンガ―ってやつか?
「で、お前は誰だ。」
「へ…?」
アホっぽい声がつい出てしまう。
俺かい。俺ですかい。
「見ればわかる。梓じゃないだろ。」
ほーーー!平然と立川さんを梓、と呼び捨てにする態度、気に入らないな。
「お前こそ誰だよ。梓とか立川さんを呼び捨てにするなよ。」
「見てわかるだろ。木島 優斗だよ。それに、梓は梓だよ。俺の彼女なんだから。お前だって、さっきそう認めてただろ。」
「なに言ってるんだ!俺が木島優斗で…俺の彼女がー…違う違う、彼女じゃないです。ごめんなさい。…ん?さっきって…。」
くすくす…
笑い声が聞こえた。