オレと子どもの12日間


家を出た瞬間、立川は俺に言った。

「さっきの話の続きだけど…。」

うんうん、なんだい?

「覚えてるかな。実は私、明日から実習なの。」

…うん?

「でも、私、こんな姿だから行けないじゃない?それで、優斗くんにお願いなんだけど…。」

ちょっと待て??ストップ。…なんか嫌な予感。

「私の代わりに保育実習に行ってほしいの!」

いやあああああああああ!!!!

「ね?お願い。12日間なの。ううん、お互いの体が戻ったらすぐ私行くし。ね?」

ね?じゃなくて。可愛い、可愛い立川さんの可愛いお願いでも俺にはちょっと…。

「な、何言ってるんだよ…俺、保育とか勉強してないからわからないよ。」

「大丈夫!私が習ったことは今夜中に教えるし、正直私もたいしたこと習ってないし。」

「いや、でも。」

「それとも子どもあんまり好きじゃない?」

おう。嫌いだ、嫌い。大嫌い。だけどそんなこと言えねー。


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